東京高等裁判所 昭和42年(ツ)107号 判決
原判決は証拠によつて、被上告人は上告人とともに昭和二八年以来本件建物を訴外人より賃借してきたこと、被上告人は昭和三六年一〇月上告人が本件建物から他に転出後上告人より同建物の明渡を要求されるに及びはじめて昭和二九年中既に上告人が本件建物を訴外人より買受けていた事実を知つたこと、被上告人は上告人からの明渡要求に対し客観的には明渡さねばならぬ事由は認められなかつたけれどもできうれば他に移転先を求めて上告人の要求に応じたいと考え先ず期間を一年とする第一回の賃貸借契約を結び、その期限到来とともに、更に期間を八ケ月とする第二回の賃貸借契約を結んだのであるが、被上告人としてはその期間中に移転先が見附かり移転が可能となつたら移転するという趣旨で右の各契約の締結に応じたものであること等の事実を認定した上かかる事情の下に成立した右各賃貸借は借家法第八条にいう一時使用を目的とする賃貸借であることが明らかな場合には該当しないと判断したのであつて、この判断は正当として是認できる。従つて原判決が本件につき、借家法の適用を認め第二回の賃貸借契約は期間の定めのないものとみなすべきであるとしたのは相当である。
(岸上 小野沢 大石)